
井上隆文(いのうえたかふみ) |
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1965年、群馬県生まれ。大学卒業後、自動車関連会社に就職、2年後コピーライターを目指すために退職。宣伝会議主催のコピーライター養成講座で学んだ後、広告制作プロダクションに入社、その後、群馬県の広告代理店を経てフリーランスとして独立。2001年、群馬県前橋市に(有)広告と写真社を設立。2005年に東京事務所を開設。2008年、株式会社に組織変更し、東京に本社を移転。現在、「コトノハ教室」の開設準備中。 |
![]() 私は、ことば力と文章力を駆使して企業の商品やサービスをPRするコピーライターとして約20年間にわたって活動してきました。現在も(株)広告と写真社という広告制作会社の代表取締役兼コピーライターとして仕事を続けています。 広告の文章は、誰もが「読んでみよう」と思って読むものではありません。「読みたい」からお金を払って手にする新聞や書籍の文章と、広告の文章はこの点が大きな違いです。コピーライターという職業は、あらゆる技術を駆使してこの壁を越え、読む気がない人に文章を読ませるプロです。ほんの一瞬目にした単語、耳に入ったフレーズひとつで、見知らぬ人の心を掴み、消費行動を起こさせなければなりません。しかも、文章量は、少なければ10文字以内、多くても100~400文字の短文。この短い文章に、すべての情報を盛り込み、その魅力を伝えなくてはならないのです。さらに、不特定多数に向けて発信するため、小中学生にもわかる平易なことばで書かなくてはいけません。私は、このような厳しい制約の中で試行錯誤しながら、長年にわたって「人の心を動かすことば」を作り続けてきました。 そんな、ある日、私はおもしろい事実に気が付きました。私には、小学6年生と小学校3年生の息子がいます。2009年の春から彼らに作文を教え、また、国語や文章題の添削をするようになりました。何度か添削をしているうちに、ハタと気がついたのです。試験に求められている文章力、これはコピーライターのテクニックそのものだと。試験に必要な作文(文章題の解答含む)は、おおよそ「100~400文字」、その短文に出題者の意図を読み取ってキーワードを盛り込み、自分なりの考えを書くというのは、広告の商業文と骨格がまったく同じです。そうだとすると、私の経験と技術は、子どもに作文を教える上で大いに役立つはず、そう考えたのです。 もうひとつ、気になることがありました。私の息子は読書好きでおしゃべりなくせに、当初は文章がとても下手でした。一般的に、おしゃべりな人は、ボキャブラリーが豊富でことばの構成力があるので、文章を書く素養があります。しかし、息子は原稿用紙を前にすると、ヘビににらまれたカエルのようにあぶら汗を流すばかりで、文字を書くことができませんでした。無理して書いても、どこかで見たような文章しか書けません。原稿用紙のどこを探しても、彼の個性はかけらも見つからないのです。 しかし、これは我が家の子どもに限ったことではありません。私は、仕事がら今まで多くの社員や外部スタッフに文章を書かせてきましたが、まともな文章を書ける人はほとんどいませんでした。誰もが小学生の作文のような、つたない文章しか書けないのです。なぜ、大人も子どもも文章が書けないのか? 私は、その原因は学校教育にあると考えています。小中学校の国語の授業は、文章力を育まないどころか、文章を書く行為そのものを嫌いにさせていると感じています。 文法に則って文章を書く。解答例に即した正しい文を書く。よい児童・よい生徒・よい子どもと思ってもらえる健全な文章を書く。こんな制約があったのでは、空想の羽を広げた独創的文章が書けるわけがありません。子どもが作文嫌いになるのも当たり前です。 でも、文章を書くって、本当はもっと楽しいことなのです。自分だけの物語をつくりだす喜び。人に自分の思いをたっぷり伝えられるうれしさ。相手の言うことが読み取れる楽しさ。その楽しさを、もっとたくさんの子どもたちに教えてあげたい。 私が「コトノハ教室」をはじめたいと思ったのは、このような理由からです。「ことば力」があれば、ものごとの背景を読み取り、適切な判断を下して、相手の気持ちを考えながら伝えることができます。これは勉強だけではなく、仕事にも、社会にも、欠かせない重要な能力です。 また、はじめての生徒である息子の文章力が短期間で飛躍的に伸びたことも、私の背中を押す要因となりました。幸いにも、息子は私が指導をはじめてからメキメキ実力を上げ、夏以降「朝日小学生新聞」の公募作文に4回応募して3度も掲載していただけるまでになり、目指していた都立の中高一貫校にも無事合格することができました。この結果を受け、「コトノハ教室」を、中学受験に挑む子どもさんや親御さんの役に立ててほしいという思いも抱くようになりました。 私は、子どもだけではなく大人にも「ことば力」が必要だと思っています。親子だから、家族だから、恋人だから、友人だから、ことばがなくてもわかりあえるなんてウソだと思います。「ことば力」がなければ、親子といえども深くわかりあうことはできないと思います。そのような意味で、現在の日本が抱える社会問題にも、この「ことば力」の不足が関係しているのではないかと私は考えています。 なぜなら、「こころ」は「ことば」で、できているからです。 |
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